(アキラはタクトMEDを迎えました)(ネタバレ注意)












彼の腕に収まって、温もりを分かち合う。
ようやく、彼に抱きしめられることに慣れてきた。
背中から伝わる彼の心音は穏やかで、とても落ち着く。






「ねぇ、ミーはたまに、ドリームなんじゃないかと思ってしまうんだ」
「夢?」
「タクトがリバイバルして、争いも終わって…がミーの腕の中にいる。
 ハッピーすぎてね…少しだけ怖くなる時がある」
「……うん、そう…だね」




戦いが終わって、タクトが戻ってきたけど
この世界に傷痕は残り、私たちもまだやることがある。
でも、以前に比べたら幸せで…まだ慣れない。
こうやって、彼の腕に収まる日がくるなんて、あの頃は考えてもみなかった。






「ビコーズ、だからこうやっての温もりを直に感じることで、
 ドリームじゃナッシングってことを実感してるのさ」
「なにそれ…もう」
「分かってるくせに、あまのジャックなんだから…そういう所が、堪らなくラヴラヴィリングだよ」




彼からの言葉を半分流しつつも、その言葉に凄く救われている私がいる。
彼の愛は、毒だ。
彼の愛は穏やかで、激しくて、深い。彼が愛する音楽と同様に。
もうカズキの愛がないと、生きていけないと思う。




「ん…ありがと」
「フフ、素直な所もキュートだよ」




腕に力が入り、彼の顔が耳の傍にくるのを感じた。
こそばゆさに、少し身体が痙攣する。




「ねぇ、何を悩んでるのか、僕に教えてくれないのかい?」




少し低い素の声が、鼓膜を震わせる。
思わず奇声が出てしまったけど、彼は放してくれない。
彼は感情にとても敏感で、隠し事が出来ない。




「話してごらんよ」
「別に、悩んではいないよ…少し、なんと言うか…」
「タクトとティーチャーのこと、かな?」
「そう。……いや、大丈夫って分かってるんだけど…」




今、アキラちゃんとタクトは贖罪の旅に出ている。
タクトがそう言い出した時も、アキラちゃんが一緒に行くと言った時も私たちは、反対しなかった。
二人には、いろんな意味で時間が必要だと思ったから。
でもこうやって、二人の姿を見ないことで、少し落ち着かない気分になる。






「心配性だね、は」
「かもしれない」
「…こっちを向いて、プリーズ」






彼に従い向かい合う。
手を握り、彼が喋りだす。




「二人の運命はね、プディングなのさ」
「……え?」
「二人はサッドな別れを体験して、さらには敵対なんていうアンハッピーを乗り越えて、
 今ハッピーをゲッチューする為のトリップに出ているだろう?」


頷くと、彼は続ける。


「だからね、プディングみたいなものなんだよ。
 ビターなカラメルとスイートなカスタードの両方があって、プディングなんだから。」
「………」
「これからも辛いことはあるかもしれないけど、きっと、スイートな日々が待っているよ」
「…カズキ」






「僕は、貴女との運命もそうであったら良いと思ってる…」




少し、切なそうに揺れた瞳に、握っていた手に力が籠った。






「カズ、キ…私」
「貴女が好きだよ」




彼からの甘い言葉に、喉が詰まる。
少し躊躇った後、頬にキスをした。






「オーケイ、伝わったよ。ミーはマウストゥマウスで更に伝えようかな、いいかい?」
「…聞かないで」








プディングをあなたと二人で






「…愛してるよ、